大館市の市街地に鎮座している遍照院で行われる火渡り法要についての記事です。
毎年6月第3土曜日に行われる火渡り法要および護摩行は、檀家さんでなくても、誰でも参拝することができる行事となっています。
2025年の体験をもとに、火渡り法要についてご紹介いたします。
遍照院とは
大館市上町にひっそりと佇む「遍照院」は、真言宗智山派の歴史ある寺院です。
東北三十六不動尊霊場の「第12番札所」としても知られています。
もともとは薬師如来をご本尊としていましたが、戊辰戦争による焼失からの復興を機に、「不動明王」をご本尊としてお祀りされています。
現在も境内には、千手観音や歓喜天、地蔵菩薩など、多くの守護仏が大切に祀られています。
毎年6月の第3土曜日に行われる伝統行事「火わたり法要」は、多くの参拝客が訪れる法要で、参加者たちはその迫力と荘厳さに感動します。
遍照院についての歴史、諸堂についてはこちらの記事に詳しく載せていますので、ご覧ください。
不動明王とは

不動明王
不動明王は、明王のなかでも最も力があると考えられている仏さまです。
なぜなら、全宇宙をつかさどる大日如来が、姿を変えて現れたものとされているからです。

大日如来が姿を変えて現れた
メラメラと燃えている炎を背負い、大きな岩にどっしりと座ったり立っている姿から、親しみを込めて「お不動さま」と呼ばれています。
不動明王が怒りの顔つきをしているのは、
・煩悩(ぼんのう)にとらわれた人々を善い道へとみちびくため
・人々の苦しみを下から支えて救いたい
という強い決意の表れです。
たくましい体で、悪を断ち切る大日如来の宝剣(ほうけん)と、人々を救うための縄を持った、本当は心の優しいたのもしい仏さまです。
火渡り法要とは

火渡り法要とは、山伏姿の修験者や一般の参拝者が、護摩壇の燃え盛った後の灰の上を歩くことで災いを焼き尽くし、無病息災、所願成就を祈願する伝統行事です。
法要は以下のような流れで行われます。
・採燈護摩(さいとうごま)を組み、護摩壇に火をくべる
・護摩木を護摩壇にくべて祈祷
・火渡り法要
先祖供養、良縁成就、家内安全、健康祈願、交通安全、合格祈願
水子供養、諸難消滅、開運厄除、商売繁盛、社運隆昌、大願成就 等々
参拝~火渡り~
2025年6月21日(土)17時半より、火渡り法要が行われました。
境内は、多くの人で賑わっていました。
護摩木・各種お守りの授与
受付では、護摩木やお守り、お念珠などが用意されています。
護摩木に自身の願い事を書き、赤々と燃え盛る護摩壇へと投じることで祈願します。
御守りの種類も豊富にそろっていました。

各種お守り
様々なご利益のものが豊富に用意されています。
つげの木で作られたお念珠です。
親玉の中には不動明王が入っています。
御大師さまが入っているお念珠もあります。

お念珠

護摩木
護摩木に願い事を書き、燃え盛る護摩壇に投じて祈願します。

御朱印
2025年の干支である「乙巳(きのとみ)」が墨書きされた、今年ならではの特別な御朱印も授与されていました。
参拝の記念にぜひいただきたい貴重な一体です。
採燈護摩(さいとうごま)の祈祷
丸太を組んだ壇を松や桧葉(ヒバ)で覆い、激しく火と煙を上げて祈祷します。
祈祷の間は始終ご真言が唱えられます。
護摩壇に火をくべると、火はあっという間に燃え盛り、モクモクと灰色の煙が立ち上りました。
御水をかけながら、護摩壇が燃え尽きるまで続けます。


採燈護摩(さいとうごま)


護摩木を投じ、祈願する
護摩木に願い事を書き、護摩壇に投じます。


火渡りの準備が整うまで
高々と燃え上がっていた大きな護摩壇も、時間の経過とともに徐々に形を変えていきます。
パチパチと音を立てて崩れ、敷き詰められた真っ赤な炭の道へと姿を変えるまでには、およそ1時間ほどかかりました。
激しい炎から静かな熱気へと移り変わる光景は、もちろん非日常的であるし、神秘さを感じさせます。

燃えつくした護摩壇
火渡り
燃え尽きて赤く熱した炭を敷き詰めて道を作ります。
その上を参拝者がわらじを履いて渡ります。

現場の厳かな空気感や緊張感の中、ご住職が火渡りをするにあたって、祈祷を行います。


激しい炎が落ち着き、真っ赤な炭の道が整った瞬間ですね。
えええぇぇいっっっ‼
と、おおぬさを一振り。
ご住職が精神を集中させ、これから火を渡る修験者や参拝客の安全と諸願成就を願って、力強く大幣(おおぬさ)を振る姿はまさに圧巻です。

さあ、火渡りです。
渡る際には、わらじをお借りすることができます。
指などがはみ出ると火傷してしまうかもしれないので、大きめのサイズを履くことをおすすめします。


「熱い!本当に熱い!」
恐る恐る踏み出した最初の一歩。
その想像以上に熱さに、「あっつい!」と声が出そうになりました。
まさに本気で熱さ。
でもここで立ち止まるわけにはいきません。
もう前進あるのみ、足裏で熱さを感じながら、一歩ずつ渡りきることだけを考えます。
道の途中ではご住職さまが構えており、手にした大幣(おおぬさ)でジャンジャンと、勢いよくお祓いしてくださいます。
そのあと押しがありながらも、一歩進むごとに足の裏に伝わる熱さは一段と強くなっていきました。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は護摩行と火渡り法要についてまとめました。

火渡りを行った後の足は不思議なほど軽く感じられました。
不動明王というのは、時に確たる厳しさを見せる父親のような存在ではないかと思います。
大きく燃え上がる護摩壇に近づき護摩木を投じるとき
熱い炭の道を自分の足で渡りきるとき
多少なりとも自身の行動と覚悟が必要となります。
私にとって火渡りとはその感覚を見出し、自信をもって前進するきっかけになるものでした。
そして、世のために祈願してくださったご住職さまを間近で見ることができたことに感動し、とても素晴らしい時間となったのでした。
来年もまた参加させていただき、この感覚を味わいたいと思います。

「遍照院」の基本情報
- 所在地:大館市上町6
- TEL:0186-42-3178
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