秋田県大館市にある出川の欅(いでがわのケヤキ)を紹介する記事です。
出川(いでがわ)という地域の入口にある巨大なケヤキは、知る人ぞ知る、パワースポット的な名所となっています。
出川の欅(いでがわのケヤキ)
欅(ケヤキ)とは
ケヤキの木は皆さんが馴染みのある木で、外を歩いていれば必ず存在する木です。

北海道以外の日本どこでも見られます。
丈夫で丈も高く成長し、公園、学校、街路樹に植樹されています。
木材としても重宝され、耐久性に優れ木目も美しいので建築や彫刻、家具などのあらゆるものに使われる木です。
木肌が特徴的で古くなると表面がポロポロと剥がれます。
子供の頃剥がして遊んだ木、ケヤキだったと思いますよ!
出川の欅の由来
言い伝えによると、このケヤキは平安時代に植えたものだ言われています。
なので、樹齢1000年を超えることになります。
大正時代の始め、佐藤東吉さんが若木山大権現(おさなぎやまだいごんげん)という神さまの名前を頂いてこのケヤキに奉納して以来、出川地区の御神木(ごしんぼく)として親しまれ祀られてきました。
昭和53年3月、大館市の天然記念物に指定されました。
毎年3月11日(旧暦4月8日)に、例祭が行われます。
ちなみに4月8日といえばお釈迦様の誕生日ですね。
現在の日本では、新暦4月8日にお釈迦様の誕生日として花祭りが各地で行われています。
東アジア圏では旧暦4月8日にお祝い祭が行われています。
出川の欅 ~参拝~
初めて見たときは圧倒的な存在感と迫力に驚きました。
高さをなんとか写真に納めました。



根本は空洞となっていてタタミ8畳の広さがあります。
根本の内部は地上6メートルまで空洞が続いています。
ケヤキにはしめ縄が巻かれており、御神木(ごしんぼく)として祀られています。
大昔から日本人は、山や岩、木、海など自然のものに神さまが宿っていると感じ、手を合わせてきました。
集落が作られると自分たちの生活を守ってくれる神さまとして感じるものを祀るようになりました。
神さまはさまざまな恵みを与えてくれる反面、雨風や地震などをもたらす恐ろしい一面を持っています。
日本人はそんな神さまに見守られながら、時には叱られながら暮らしてきました。


横に伸びた太い根かぶからは大きなケヤキが繁っています。
全部で5本出ていますが、とても珍しいとなります。
けやきの丘入口から階段を上がっていくとひらけた空間が広がり、お堂やベンチがありました。


お堂の横には風化していますが若木山大権現(おさなぎやまだいごんげん)と刻まれています。
案内板に書いてある通り、佐藤東吉さんが若木山大権現(おさなぎやまだいごんげん)を頂き奉納したのが大正時代とすると110年ほど前になります。
さて、若木山大権現とは・・・
若木神社(おさなぎじんじゃ)がルーツの神さまです。
この神社はヤマトタケルノミコトという勇敢で強い神さまが建立したというぐらい、古い歴史がある神社です。
ヤマトタケルノミコトがいた時代は古墳時代、2000年前の話ですからね。
そんな若木神社から分けてもらった御霊ということになります。
山形県東根市の若木山(おさなぎやま)の若木神社が有名で、空海・最澄によって流行り病を鎮めるために東北を中心に広く信仰されている神社となりました。
出川の欅のご利益

根本の部分にたくさんのコブがあり、その大きさや数の多さ、なんといっても他に類を見ないケヤキの根の形をしていることから、出川地区の人を中心にコブにはご利益があると伝えられるようになりました。
コブの形が赤ちゃんのいるお母さんの乳の形に似ているからなのでしょう、
母乳がたくさん出るようにと白布で作った袋に白米を入れてコブに供え、家に持ち帰って炊いて食べると母乳が出るようになると言われるようになりました。
また、コブをさすって願うことでもご利益を得られると言われています。
近年は母乳だけでなく、乳がんの予防などを祈願する御神木として信仰されています。

出川のケヤキの測定値
根かぶ周りの太さ:約29メートルで日本一級、おそらく日本一です。
樹高の高さ:約30メートル
幹の周り:約17メートル
幹の直径:約2.5メートル
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は出川の欅についてまとめました。
お堂には若木山大権現が祀られていたこと、母乳が出るご利益や女性特有の病気の平穏無事が祈願されていたことが分かりました。
その昔、ミルクが無かった或いはとても高価だった時代、母乳が出ないということは生命に関わるほど深刻なことだったのだと思います。
いつか大叔母が言ってたことを思い出しました。
自分の母乳が出なくて子どもに飲ませられなかったとき、あなたのおばあちゃんに飲ませてもらったんだよ。ミルクもあったけどなかなか売ってないし高価でね・・・
と。
出川の欅には、流行り病から人々を守り、未来を生きる次世代の人たちが豊かに栄え、発展できるようにという地域の人たちの願いが込められていたんですね。

ひらけた空間から西側を一望できます。
容赦ない風を受けながら手前に広がる水田、河川の土手、連なる山々を眺めているうちに、もしやこの大木を靴で上がるのは失礼なのではないかと思い始めました。
そしてグラウンディングという言葉を思い出しました。
グラウンディングはあまり経験したことのない域ではありますが、次回トライしてみたいと思ったのでした。
出川の基本情報
- 所在地:〒017-0857 秋田県大館市上沢岱46−1
- 見学自由
- 駐車場なし
出川の欅に関しては大館市の観光パンプレットに載ってないかもしれないです。
時々地元紙に取り上げられているので、知る人ぞ知るという感じです。
田舎の生活は車移動が中心なので、行き方はやっぱり車が一番良いと思います。
近くに渋谷のハチ公が生まれた生家があり、記念碑とハチ公像を見ることができます。
その際、一般住宅であって公園ではないので、車の駐車等には十分お気を付けください。