大館市の伝統的なお祭りとして挙げられるのが大館神明社の例大祭です。
この記事では、2025年の大館神明社の例大祭について紹介します。
大館神明社例大祭とは
大館神明社のお祭りは、毎年9月10日、11日の2日間にわたって行われる行事です。
大館神明社の御神輿巡業(おみこしじゅんぎょう)と、重さ1トンを超える山車(やま)と呼ばれる町内講、各町内の子ども神輿が大館市内を練り歩きます。
山車(やま)の上では大太鼓、小太鼓、笛、鐘によるお囃子(おはやし)が演奏され、お囃子と一緒に踊りこさんの踊りが披露されます。
お囃子と掛け声、街中がものすごい熱気に包まれる2日間です。

山車(やま)は、一日中、大館市内をねり歩き、その間中お囃子と踊りが披露されます。
大館市内をねり歩くのには理由があります。

それは、普段は神社に鎮座している神様に、お祭りの日はお神輿や山車(やま)へうつって頂くからです。
お神輿や山車(やま)にのって頂いた神さまと一緒に、ふだんお守りいただいている地域をねり歩くことで、神様のご神徳、ご利益を各家々に与られるという信仰があるのです。
お囃子や踊りの人たちは、神さまに捧げるものとして奏でるし、踊ります。
例祭では神さまと人々が一体となってお祭りを祝います。
いつもお守りいただいている地域の活力を蘇らせ、五穀豊穣、商売繁盛、家内安全を祈願し、感謝するのが、大館神明社のお祭りです。
お祭りの歴史 ~大館神明社~

大館神明社例祭の歴史は古いです。
大館神明社が今の場所に鎮座したのが1675年(延宝3年)であり、今年で鎮座350周年となります。
当時は、旧暦8月1日頃にお祭りが行われていたようです。
旧暦8月1日は、現在の新暦でいうと9月初め頃ですね。
で、なぜ9月11日にお祭りの日が変わったかというと、
1910年(明治43年)9月11日、大館で明治天皇の御巡幸(ごじゅんこう)が行われました。
今でもすごいことなのですが、これはもう当時の人々にとってはとてつもなく凄いことなのでした。
江戸時代まで天皇は京都の御所から出ることのない神さまだったのですから。

明治時代となり、日本の首都が東京となり天皇も東京へ遷られました。
それからうって変わり、10年かけて明治天皇は全国を御巡幸されたのです。
記念すべき大館の御巡幸が9月11日だったことから、それ以来9月11日を本祭とするようになりました。
大館神明社が現在の場所に鎮座したのは350年前ですが、もともとは限りなく近い場所に鎮座している神明社(通称:古神明社)が起源となります。
350年前、古神明社から御霊分けされた神さまが大館神明社です。
そして古神明社の時代からお祭りは行われていたとされていますので、古い歴史を持っているということになります。
残念ながら火災により詳しい資料などは焼失してしまったそうです。
古神明社はまたの名”お日様”と呼ばれていました。
子ども頃はよく考えず呼んでいましたが、まさに天照大神(アマテラスオオミカミ)のことなのでしょうね。
大館神明社について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
また、当初、旧暦8月1日にお祭りが行われていたことにも意味があります。
旧暦8月1日は二十四節季というと、「禾乃登(こくものすなわちみのる)」です。
稲や穀物が実る季節ですね、稲穂が徐々に膨らみ下を向いていきます。
収穫は間近、五穀豊穣を願い祝う時期なのでしょう。
余興奉納行事 お祭りの日程~2025年度~
【宵宮】9月10日(水)
時刻 | 開催場所 | 内容 |
---|---|---|
12:30 | 大館神明社 | 各町内講の集結 |
13:00~ 13:30 | 大館神明社 | 余興奉納奉告祭 山車、おみこし全てが神明社に集まり、神明社にて執り行い、奉納演奏を行います |
13:40~ 13:50 | 大館神明社 | かいこう囃子 運行中にかち合った山車同士がお囃子を奏でお互いを称賛しながら運行中の無事を祈願します |
18:00~ | 大館神明社 | 宵宮祭 |
18:00~ | 御成町二丁目 | 各町内の山車の集結 御成町にライトアップした山車が並びます |
18:50~ | 御成町二丁目 | 出陣式~出陣 各町内の山車が大町にむかって順次出発します |
19:30~ | 田町 | 田乃坂越え 田町の坂を山車が一気に駆け上がります |
20:30~ 21:00 | 大町 | 大館ばやし饗宴 山車が集まってそれぞれの自慢のおはやしを奏でます |
【本祭】9月11日(木)
時間 | 開催場所 | 内容 |
---|---|---|
8:30~ | 大館神明社 | 例祭 |
12:20~ 12:50 | 大町ハチ公通り | 曲げわっぱ太鼓演奏 大館の太鼓チーム「曲げわっぱ太鼓」の演奏が行われます |
13:00~ 13:15 | 大町ハチ公通り | 稚児行列 宮の杜神明こども園の園児たちが稚児行列を行います 大町通りの鍛冶町から本部席まで園児たちが歩きます |
13:30~ 14:25 | 大町ハチ公通り | 絢爛(けんらん)ばやし 参加する山車は全部で12講、3つの山車ごとに、おはやし合戦を行います パフォーマンス付きのおはやしが見ものです |
18:00~ 19:30 | 秋田犬の里 | 駅前おはやし共演 一成講、二丁目講、清豊講、四成講がお囃子を共演します |
18:30~ 20:35 | 大町交差点 | 祭典祝い水 8講が集まって行われる祭典のクライマックス行事です |
余興奉納奉告祭(1日目)
山車、おみこし全てが神明社に集まり、神明社にて執り行い、奉納演奏を行います。


稚児行列(2日目)
宮の杜神明こども園の園児たちが稚児行列を行います。
大町通りの鍛冶町から本部席まで園児たちが歩きます。

写真はイメージです。
絢爛(けんらん)ばやし(2日目)
山車のお囃子合戦が行われます。
参加する山車は、全部で12講、3つの山車ごとに行われるので4回の演奏となります。
それぞれのパフォーマンスが見ものです。
四成講・辯天講・末廣講
一成講・田豊講・新連講
馬龍講・二丁目講・南正講
清豊講・大豊講・南神講
駅前おはやし共演(2日目)
一成講、二丁目講、清豊講、四成講が、大館駅前の”秋田犬の里”の広場に集まって、それぞれのお囃子を共演します。

祭典祝い水(2日目)
大町の本部前で8講が集まって行われる、祭典のクライマックス行事です。
円陣を組んだ各講の代表者が水に打たれます。
祝い水の後はお囃子合戦が行われます。



参加講一覧
◆山車の部◆
四成講・馬龍講・南神講・新連講・南正講・末廣講・一成講
清豊講・田豊講・曲げわっぱ講・辯天講・二丁目講・大豊講
◆神輿の部◆
長根講・水門講・有浦講・中神明講
※祭りのしおり45号による表示順 参照
まとめ
いかがだったでしょうか。
幾百年も欠かさず人びとが繋いできたこのお祭りには、私たちのご先祖の魂が刻み込まれているような気がします。
普段は忘れがちな、敬神崇祖(神を敬い先祖を崇める心)の精神を思い出させてくれる行事ではないでしょうか。
参加するもよし、観覧するもよし。
今ここ、に感謝するもよし、子供たちの明るい未来を願うのもよし、な大館神明社のお祭り。
一心不乱に叩く大太鼓の音は空気を震わせ、人の体に伝わります。
その音は、あらゆる邪気が吹き飛ばされていく爽快さを感じます。
エネルギーが満ちあふれる祭典は、人々が神々とつながり融合するような気がします。
大館の人々の祈りの分子が震え鳴り響き、祈りの想いが共鳴した瞬間を幾度も見られる二日間となります。