【大館観光】鳥潟会館 国指定名勝の庭園と燈籠を見る 春編

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秋田県大館市にある「鳥潟会館」の紹介記事です。

鳥潟会館の庭園は、池を中心に樹木や庭石が置かれていて、山から流れる川がが海へ注ぐ風情を表している日本庭園です。

近代庭園として学術的な価値が高いと評価され、2024年(令和6年)に国指定名勝に登録されました。

今回は春の庭園~灯籠編です。

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鳥潟会館とは

鳥潟会館とは鳥潟家の住宅とその庭園のことをいいます。

鳥潟家住宅は、1760年代(江戸時代中頃)に建築されたもので、数寄屋(すきや)造りの建物となっています。

その後、1936年(昭和11年)、鳥潟家の第17代鳥潟隆三(とりがたりゅうぞう)氏が鳥潟家住宅と庭園を増改築しました。

鳥潟隆三氏が増改築した部分は京風の造りとなっており、鳥潟隆三氏のこだわりが建物や庭園のいたるところに見られる造りとなっています。

鳥潟隆三氏とは

京都帝国大学 名誉教授 医学博士

鳥潟隆三(1877年~1952年)

現在の鳥潟会館を造った鳥潟隆三氏とはどのような人だったのでしょうか?

隆三氏の生涯についてはこちらをごらんください。

表門~垣根通り

表門(おもてもん)の前には案内板が掲げられています。

さぁ中へ。

鳥潟会館の表門(おもてもん)をくぐると、垣根通りが広がります。

この垣根、同じ種類の木のようですが、右側がキャラボク、 左側はイチイとなってます。

隆三氏のこだわりがあって、その支持のもと植えられました。

いずれもイチイ科であり、見ただけでは区別しづらいですが、生息地や葉っぱの生え方など植物学的には違う種類となります。

上の写真がキャラボクです。

四方八方から葉っぱが生えるのがキャラボクです。

こっちがイチイで、規則正しく葉っぱが生えます。

幹も真っ直ぐ伸びます。

分かりやすい違いは木の高さです。

これは反対側から見たものなので、左側がキャラボク、右側がイチイです。

キャラボクの方がイチイよりも低いですね。

いずれも雪の重さに耐えられるほど硬い樹木で雪国に適していると言えます。

垣根通りを終えると鳥潟家の家屋があり、家屋の手前には馬ソリ廻しという場所があります。

馬そりを使って荷物を運んでいた当時、馬ソリがUターンしやすいように設けた場所で、大木を中心に方向転換することができます。

中門(ちゅうもん)

庭園内のさらに中庭に入るには中門(ちゅうもん)をくぐります。

中門(ちゅうもん)とは茶室の中庭に入るための門のことで、茶道における茶道の精神や美学を表現したものの一つです。

中門をくぐると右側に東屋(あずまや)、左側に燈籠が建っています。

気持ち良い風が吹いていました。

中門(ちゅうもん)、東屋(あずまや)についてはこちらの記事をどうぞ。

庭園の燈籠(とうろう)

鳥潟会館の庭園には様々な形の燈籠があります。

立ち燈籠

中門をくぐり、東屋(あずまや)の向かいには巨大な六角形の立灯籠が建っています。

と小学一年生の子どもと比較しました。大きいですね!

秋田県内では最大級のものとなります。

高さ3m, 台座(基礎という)のところにに鳥潟家の家紋、花菱が彫られていました。

正確に言えば、花菱単体の家紋は武田信玄のものとなります。

鳥潟家の家紋は花菱3つです。

鳥潟家の家紋

六角形の燈籠は下から”基礎”、”竿”、”中大”、”火袋”、”竿”、”宝珠”のすべてを備えた基本形の燈籠で、一般的で多く目にします。

材質は花崗岩(かこうがん)。

花崗岩はとても硬いことから摩耗や風化に強い石として様々なものに使われている石です。

崩れてしまった燈籠もあります。

重要文化財に指定されているため、崩れたからといって修理などの手を加えてはいけない決まりがあります。

雪見燈籠(ゆきみとうろう)

やはり水場にはこれといった感じでしょうか。

燈籠の基礎と竿の代わりに足を付けたもの、で、大きな傘をがあって、全体的に幅に比べて背の低い燈籠のことを雪見燈籠(ゆきみとうろう)と言います。

雪見灯籠の形も様々で、四角、六角、八角、円形あり、脚の数も4脚や3脚様々。

サイズ、形ともに自由で庭の雰囲気に合わせた石造りに重きを置かれています。

雪見灯籠がどうしてゆきみと名付けられたのかは分からないんだそうです。

ただ、なんかロマンチックな名前で良いですよね☆☆☆

庭園の観賞用として設置されている燈籠で、池のある庭園で一番よくみられます。

配置場所も当初は水とは関係づけられませんでしたが、次第に池や水の流れと関係させて設置されるようになりました。

現在では鳥潟会館の庭園のように、池があって中島(なかしま)があって、雪見燈籠がある形態が主流となっています。

鳥潟会館の雪見燈籠は、火袋の部分が細かいのが特徴的で、脚の立ち方も大きくなく、スッキリとしたデザインになっています。

やはり、雪見燈籠があるのと無いのとでは風情が違うかんじがします。

周辺の景観とうまく調和していますね。

三光燈籠(さんこうとうろう)

こちらは三光燈籠(さんこうとうろう)という、めずらしい燈籠になります。

庭園が一望できる主人室の縁側から降りたすぐの所、石の上にちょこんと置かれています。

日輪形と三日月形をかたどっていて、もう一つの面には丸型(星)がかたどられていたので、日・月・星を見たてているのでしょう。

日・月・星は三つの光ですね☆

池から家屋に戻る際、足元を照らすために置かれたものかと思われます。

三光燈籠は置燈籠(おきとうろう)の種類に入ります。

置燈籠は、脚や基礎となるの台がないので、燈籠本体を直接地面や石の上に置きます。

つまり、水辺や路地などの足元を照らすため、照明用に置かれた小さな燈籠のことです。

また風情として鑑賞目的として置かれることも多いです。

層塔型燈籠(そうとうがたどうろう)

社殿の横には三重塔のような燈籠がありました。

火袋の部分を積み重ねて、三重塔や五重塔のような形にした燈籠のことを、層塔型(そうとうがた)といます。

庭の一番高い場所にあり、ここから池を中心に庭の全体を眺めることができます。

燈籠の歴史

ここで燈籠の歴史について少し。

もちろん、平安時代から燈籠はあって照明用として吊るす燈籠が使われていました。

鎌倉時代には神社仏閣に燈籠が設置されるようになりました。

庭園の要素として取り入れられるようになったのは、千利休によって茶道の世界観が出来上がってから、江戸時代になってからです。

やがて燈籠は自由に形を変えていき、照明用よりも装飾品として用いられるようになりました。

まとめ

いかがだったでしょうか。

訪問したのは5月中旬、ツツジの花が見頃をむかえてました。

暖かい春の日、若葉が優しい風に吹かれ、落ち着いた時間を過ごすことができました。

自然だけの庭に世界観を吹き込むというか、意味を持たせるというか燈籠にはそのような役割があったんですね。

燈籠って…厳格な感じという先入観を持っていました。

燈籠に三日月が刻まれているのなら、必ず西へ、満月型は東へ向けて立てなければいけないといって決まり事が多くあると思っていました。

しかし、燈籠の普及は意外にも新しく、一定の決まり事もなく、自由にその庭園の雰囲気に合わせて置いたり、形を変えて造られていました。

庭園の燈籠は、それを見ただけで家主や庭師の心を読み取ることができる存在になっています。

と共に本来持っている神仏への信仰と強い結びつきを感じます。

そんなところが奥深いと感じ、素敵だなと思いました。

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