秋田県鹿角市十和田にある「大湯ストーンサークル」についてまとめました。
大湯ストーンサークルとは
大湯ストーンサークルとは、紀元前2000年(縄文時代後期)に、人々が暮らしていた遺跡のことです。
紀元前2000年っていうと、今から4000年も前ってことですね!
1931年(昭和6年)の耕地整理の際に発見された遺跡で、発見後は地元の郷土史の先生方が中心となって保護活動が行われてきました。
2021年7月に開催された世界遺産委員会において、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の1つとして正式に世界遺産に登録されました。
また、遺跡から出土した土器や石器などは秋田県指定有形文化財に指定されています。
大湯ストーンサークルは、別名”大湯環状列石(おおゆかんじょうれっせき)”とも呼ばれます。
ストーンサークルや環状列石という名前の通り、石が輪っか状に並べられています。

輪っか状になっていますよね。
大湯ストーンサークルには上の写真のような輪っか状の遺跡が主に2つあります。
この遺跡を中心として、人々は集落を作って暮らしていたのでしょう、遺跡全体の広さは約25万㎡です。
約25万㎡というと、東京ドーム5.5個分ほどの広さということになります。
で、ストーンサークルには8500個もの石を積み上げていますが、その石というのが川原の石なんだそうです。
この場所、なかなか隆起しているところなのですが、紀元前2000年で今から3000年~4000年前は今ほど高台でないにしても大きな石を川から運び、形を形成するのは難儀しただろうなと思います。
このテーマ、永遠の課題のような気がします。
エジプトのピラミッドを始め、
「古代遺跡ってなんで巨大な石を運んでるの!?重機もない時代に!?どうやって??なんのため???」
って思うんです。
石であることの意味、石として残すことの意味、考えさせられます。
大湯ストーンサークルが発見されてから約90年、採掘と研究が繰り返され、さまざまな土器や石器が出土されたことで、歴史的価値があることが多くの人に認められています。
大湯ストーンサークル館とは
大湯ストーンサークル館とは、大湯ストーンサークル遺跡に隣接している建物で、遺跡についての解説や遺跡から出土した土器や石器を展示している施設のことです。

施設の中は
‣遺跡展示ホール
‣縄文工房
‣野中堂ホール
に分かれています。
遺跡展示ホール
大湯ストーンサークルで発掘された土器や出土品が展示されています。
祀りごとや儀式で使ったと考えられる遺跡が多数出土されました。
身体の形をしたような、数を表しているような土版(どばん)があるので必見です。
この土版、とても可愛らしい形をしていることから、ゆるキャラ”どばんくん”が誕生しました。
遺跡展示ホールを見学する場合は、見学料が必要です。
大人:320円 /子ども:110円
下の基本情報に詳細を記述していますのでご覧ください。

想像以上の出土品の数の多さに驚きました。

小さな土器も数多くありました。

人型をした土器で、土偶(どぐう)と言います。
埴輪(はにわ)と一緒な感じに見られがちですが、作られた時代も目的も異なります。
埴輪(はにわ)は古墳時代、死者と一緒に並べられたもの。
土偶(どぐう)は、古墳時代よりももっと前の縄文時代、祀り事、祭り事、魔除け、子孫繁栄などを願う儀式のためにつくられたもの。
埴輪は壊しませんが、土偶は祭事において叩き割ることが多かったようです。
割れ方で占いをしていたのでしょうか。
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大湯環状列石といえば「どばんくん」。

ここの遺跡からは、サイコロの目のように、穴で数字の1から6までを表した「土版(どばん)」が出土しています。
このことから、縄文時代の人々の生活の中にも”数をかぞえる”ということがあったと考えられています。
口なるものが1
目なるものが2
左側の胸の点が3
右側の胸の点が4
真ん中の縦線が5
下写真後ろの点が6

大湯ストーンサークルホームページより
女性を表現したのではないか、赤ちゃんをイメージしたのではないか、子供のおもちゃとしても扱われたのではないか等、色々な説がありますがどれもロマンがありますね。
個人的に面白いなと思うのは、オモテ側が1から5までで、ウラ側が6のみであることです。
この当時、すでに10進法と60進法を使い分けていたのかもしれません。
縄文工房
テーブルが並べられていて、縄文土器や勾玉、マグネット作り体験をしたり、学習会が行われる場所になっています。
野中堂ホール
館内に入ってすぐのホールです。
ガイダンス映像が流れていたり、遺跡に関係する書物、資料、展示品が並べられています。

神秘的な絵が飾られています。

イベント ~縄文祭り~
大湯ストーンサークルで縄文時代を体験できる!
ということで9月中旬に開催される「縄文祭り」に行ってきました。

鹿角公式観光サイトより2024年の広告
以下に掲載する縄文祭りは2024年、2025年に体験したものですので、それ以降の詳細については大湯ストーンサークル館にお問い合わせすることをお勧めします。
会場は、縄文時代にタイムスリップしたかのような体験ができるブースが並んでいて賑わっていました。

キッチンカーも出店されています。
縄文ステージの前には飲食・休憩スペースがありました。

縄文祭りの各種イベント
| 場所 | 内容 |
| 大湯ストーンサークル館 屋外 体験スペース | 火おこし体験 石運び体験 木のみ食体験 |
| 大湯ストーンサークル館内 | 勾玉つくり体験 組石マグネットづくり体験 縄文土器づくり体験 |
| 大湯ストーンサークル駐車場となり | 弓矢体験 |
| 大湯ストーンサークル遺跡場所 | 高所作業者に乗って 上から遺跡を見てみよう体験 |
火おこし体験
スタッフさんが丁寧に火おこしのコツを教えてくれます。

煙がでてきました!

勾玉づくり体験
縄文工房で勾玉づくりを体験しました。
材料費があるので、1個300円です。
勾玉は、縄文時代からオオカミやイノシシの牙や骨、またはヒスイ石、水晶などでつくられる祭事などで使われるアクセサリーです。
日本の天皇家が大切に継承している三種の神器の1つでもあります。
この形には様々な意味があります。
根拠なく感覚だけなんですが、なんだか魅力的に感じます。

写真ACより
削りやすい柔らかい石を使います。
最初は形を描いて、のこぎりで粗削り。

粗いヤスリで角を取ります。


水を張ったバケツの中で、目の細かいヤスリで磨くとツルツルに!


お好みで色付けをします。
着色液に漬けたり、マジックで描いたりして、紐を通すと・・・
オリジナルの勾玉の完成です!


組石マグネットづくり

好きな石を選んでマグネット板に接着していきます。
材料費があるので、1個100円です。
弓矢体験
ストーンサークル館の駐車場の隣で体験です。
当然のこと、弦は力がなければ引けないですが想像以上に力が入り、しなりました。
並べば何回も体験させてくれます!
楽しく、貴重な体験をさせてもらいました。

上から遺跡を見てみよう体験
高所作業車に乗って上から遺跡を見ることができる体験です。
ヘルメットとハーネスを装着した上で、作業者に乗り込みます。
高い!高い!

環状列石と周りの遺跡が一望できますね。
大湯ストーンサークルの遺跡は主に2つの大きなストーンサークルが存在しています。
こちらの写真は「万座環状列石(まんざかんじょうれっせき)」という、国内でも最大級のストーンサークルになります。
約6500個もの石でもって計画的に配列されています。


建物を建てるために立てた柱の跡があります。

縄文体験をこなすと”どばんくん”がもらえる!!


まとめ
今回は、縄文祭りで体験したことを中心に書かせていただきました。
2024年までは、9月3週めの土日開催だったイベントでしたが、2025年からは「縄文祭WEEK」と9月21日(日)から9月27日(土)と、一週間にわたるイベントとなっていました。
その中で、専門家を及びしたシンポジウムが開催されていたので、またの機会がありましたらぜひ参加してみたいと思いました。
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それにしても縄文時代に造られた土偶というのは不思議な形をしていますね。
人間離れしているというか・・・
下の写真、右側は有名ですね。
青森で発掘された「遮光器土偶(しゃこうきどぐう)」と言います。
土偶が人間離れした形をしているのは、やはり自然災害や食料不足、人の死など、人間の力ではどうにもならないときに「祈るもの」だったからだと思います。
今でいえば「神さま」なのでしょう。
当時の人間が視た、人間を越える存在がこのような姿形をしていることがとても面白く感じます。


基本情報
大湯環状列石の遺跡公開時間
| 4月中旬~9月30日 | 9:00~17:30 |
| 10月1日~10月31日 | 9:00~16:30 |
| 11月1日~11月中旬 | 9:00~16:00 |
| 11月中旬~ | 冬季閉鎖 |
大湯ストーンサークル館の詳細情報
| 施設名 | |
| 住所 | 〒018-5421 秋田県鹿角市十和田大湯字万座45 |
| TEL | 0186-37-3822 |
| 展示ホール見学料 | 大人:320円 子供:110円(高校生まで(18歳以下)) |
| 駐車場 | 無料 約70台 |
| 営業時間 | 4月~10月:9:00~18:00 11月~3月:9:00~16:00 |
| 休館日 | 11月~3月:月曜日(祝日の場合は翌日) 年末年始(12月29日~1月3日) 4月~10月は無休です |
本ブログに記載している情報は2025年春時点の情報です。
それ以降においてのイベントの中止や延期、内容が変更される場合がありますので、おでかけの際にはホームページやSNS等で最新情報をご確認ください。
また、営業時間や休館日については、天候やクマ被害等の影響により変更となっている場合がありますので、それについても各施設にお問い合わせすることをお勧めします。

